ベット数1/3の大幅なダウンサイジングで急性期病院へと転換

東京23区内の一つ江東区は、近隣に中央区や千代田区、台東区といった大学病院や全国的に有名な大病院が多数あるエリアです。最寄駅からバスを使わなくてはならない不便な立地も多くありながら、23区内のため地価は安くなく、高齢者ケア施設は少なく、療養型病床などは高齢者人口10万人当り全国平均の半分にも満たない。

その中でB病院は戦前からの医療機関であり、病院経営者も患者も共に二代目、三代目と顔見知りであり、患者の95%が半径km圏内に居住している固定客に恵まれた地域密着型の下町の病院として発展してきた。

診療所からスタートして病院になり病床も150床以上に増えて行ったが、建物は年々老朽化し若い世代の患者が減少、徐々に経営は悪化して行った。

しかし、地域密着型であり足の便が悪いことから地域住民の急性期病院へのニーズがあることから経営方針を急性期に特化することに転換した。

急性期に特化するため、患者をの入退院を管理・調整する総合医療課を新設し、訪問看護を開始、在宅医療にも取り組み平均在院日数の短縮化に努めた結果、平均して10日間の短縮に成功した。

しかし、在院期間が減少することによって150床以上あったベッドの大半が空いてしまう事態となり、ベッドの稼働率が大幅に低下した。併せて病院の老朽化や消防法によるスプリンクラーの設置義務などが生じ、病院を立て直すことを決断した。その際に無駄を省いて全病床を単価の高い急性期で運営するために病床数を約1/3に減らす大幅なダウンサイジングを実行した。

延べ床面積も減少したため、余った土地には地域ニーズに合わせて特養老人ホームを開設した。また、リニューアルに際して最新の医療機器を導入するなど10億円近い費用が掛かったが、建て替え期間中は近所に仮設の診療所を開設した。老人慢性疾患生活指導料などの保険点数は、病院よりも診療所の方が高いと言うこともあり、利益率は高くリニューアル費用の自己負担分は仮診療所の売上で捻出できたという。

B病院の場合、地域密着型であり近隣住民の急性期医療へのニーズが高かったこともあるが、思い切ったダウンサイジングにより急性期に必要のない無駄な経費を抑え、病床数を減らすことで正看護師比率を高めたことにより「入院基本料1」を取得できた。

地域の特性に合わせた改革で成功した例と言える。

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